カーボンのシートポストはアルミのシートポストより振動吸収性に優れるのか? Deda Superleggero 27.2x350 インプレ シートポスト遍歴など

Helium SLXは当初ヒルクライムやロードレースからブルべまで幅広い使い道を想定して組みました。PBPまで視野に入れて信頼性重視で、シートポストは金属製の中から153gと最も軽量なスカンジウム(アルミ合金)製のKCNCのTI PRO LITEを選びました。カーボンだと有名メーカー製でも稀に割れることがあるようです。

ちなみにこのようにシートレール前端ギリギリにクランプするのはボルトに負担がかかるので、大抵のシートポストではNGの注意があったりします。シートレールもカーボンだとよくないでしょうね。金属製シートレールで前乗りする分には力学的に問題ないだろうということで自己責任でやっています。

その後オフセット0mmのTI PRO LITEではポジションが合わず、KCNCの7075アルミ製で金属の割には211gと軽くオフセット25mmのセプロライトに変更。

ポジションは合ったのですが、ブルべ再開してみると200kmでシートポストまでカーボンのTCRと比べて異常に尻が痛い。結局300kmブルべまではアルミ製シートポストのセプロライトで走り切ったのですが、ちょっとこの尻の痛みはどうにかしないとPBPの1200kmを完走できるか不安です。

乗り心地を改善する方法はないのか?とりあえずカーボン製のシートポストを試してみることにしました。改めて考えてみるとカーボンのシートポストは稀に割れたり折れたりすることはあっても、純正採用されているぐらいなので杞憂とまではいかなくても確率は低いハズ。TCRも2万km以上走って何の問題もありませんでした。そこまで金属に拘らなくてもいいかなと。

振動吸収性を重視したいということで、まず板バネ形状のCanyon製S15 VCLS 2.0 CF(ARGON製CF Allroad Pro Carbon Setback)を検討しましたが、踏んだ時にトルクが逃げるというインプレもあり、レースも想定しているので通常形状のシートポストから選ぶことにしました。通常形状で振動吸収効果を謳っているシートポストを探してみると、Bontrager XXX 27.2 Seatpost・Canyon S13 VCLS CF Seatpost・Ritchey WCS CARBON LINK FLEXLOGIC SEATPOSTの3つが候補として浮かんできました。ちょうど安く手に入ったので、お試しでオフセット15mmのリッチーWCSカーボンを取り付けてみます。

現物を見てみると折れる、割れるは恐らく低確率でしょうね。単純な筒状でフレームと比べても厚み十分ですし、UDカーボンとのことですが筒の断面はフロントフォークと似ています。これなら簡単に折れそうな感じではないです。

取付はちょっと特殊。サドルの傾きとシートレールの固定は独立した機構ではなく、傾きからシートレールの固定まで1つのボルトで、左右2本で行います。この辺はトルクレンチの出番。最大15nmのトルクで締めるとのことですが、最大ではなく適正トルクが分かりません。シートレールをこんなトルクで締めるのは?しかし角度調整も兼ねているのでそこそこ締めた方がよさそうです。海外フォーラムを頼りに注意しながら13nmで締めたところ固定十分のようです。シートクランプは4nmを少し超えるぐらいのトルクで滑り止めのグリスは無しで組みました。体重55kg程度ですが下がる様子はないようです。

走り出してすぐに気付く乗り心地の良さ。振動も衝撃もアルミに比べて吸収されています。何よりフレームと一体感があります。ああこれが本来のHelium SLXなんだと思いました。400kmブルべも無事完走、尻は痛いと言えば痛いのですがアルミのシートポストだった時とは痛みも疲労も全然違いました。

乗り心地はカーボンの方が良いことが分かったのですが、またまたセットバックが足りません。最初から25mm必要なの分かってたんだから25mm買えよ!なんですが、実はそんなにカーボンのシートポストに期待していなかったんですよね。特に自分の場合は大した突き出し量ではないし、シートポストの材質の違いがそこまで乗り心地に影響するとは思いませんでした。

今度こそ最後の一本ということでオフセット25mm以上のものを探します。当初候補だったCanyon S13 VCLS CF Seatpostに加え、Deda Superleggero・Deda Superzero・FSA K-Force・3T ZERO 25 TEAM・Prime Primaveraなどが候補として挙がりました。まあやっぱりRidleyならDedaでしょということでSuperleggeroDeda Superleggeroに決定。CanyonのVCSLは振動吸収性の面では良さそうですが、ロゴ問題がありRidleyと合わないかなと。

現物はDedaの最高グレードのSuperleggeroだけあって高級感あります。そして軽い。余談ですがSuperleggeroのステムは剛性が低いとそんなに評判はよくなく、Zeroにする人も多いようです。シートポストも軽くても薄くて剛性が低かったらと不安になりますが、筒部分は175gのSuperleggeroと195gのリッチーWCSでそう変わりません。恐らくヤグラ部分が軽量化されているようで、折れやすさという点では安心感はあります。

ヤグラ部分は1ボルト固定+指で回せる1ナットで角度調整という一番好きな構成。これが一番調整しやすいです。シートクランプは4nmを少し超えるぐらいのトルクでグリス無しで組んで、特に下がったりせず問題なし。乗ってみると乗り心地重視を謳っているリッチーWCSと比較して衝撃や振動の吸収性はそう差はありません。オフセットの差か、Superleggeroの方が若干いいかなぐらいです。ともかく、アルミ製と比較してカーボン製のシートポストの方が乗り心地が良いというのはハッキリ分かりました。

恐らく今後、金属のシートポストを使うことはなさそうです。クロモリやチタンのフレームを買ったとしても、これだけ乗り心地が違うとなるとシートポストはカーボンにするでしょうね。突き出し量がヤグラまで125mm、シート上面まで175mmと少ない自分でも相当な違いを感じるので、突き出し量が標準以上の人はより差を感じるではないでしょうか。乗り心地重視ならシートポストは断然カーボンがオススメです。

それとKCNCのTI PRO LITEからセプロライトに交換した時に感じたのですが、オフセットも材質の違いほどではないけど乗り心地に影響します。オフセットがある方が乗り心地が良いです。アルミと言ってもスカンジウムと7075アルミで全くの同材質での比較ではないのですが、恐らく同材質でも同じになるだろうなと推測できるぐらいの違いでした。オフセットがゼロだと段差での突き上げが特にキツく衝撃がダイレクトに尻に来ます。