Fulcrum Speed 40C ファーストインプレッション~走行2000kmインプレ

そんなわけで、UCI applovedじゃないとダメだから割と仕方なく買ったSpeed 40C。届くまでは、ルールでOKならニセコクラシック中華カーボンで出たかったなあ値段の割にメチャメチャ性能いいし、Speed 40C糞高いなブランド料にお布施したなあとかモヤモヤしてました。しかししかし、届いてみると、そんな気分は吹き飛びました。まず見た目が良い!

風洞実験したらこうなりましたと主張しているような造形のハブ。表面はなーんかヌルっとした独特の艶を放つ質感で、めちゃくちゃカッコイイ!

リム。ブレーキ面のAC3と、ブレーキ面以外は美しい仕上げのクリア塗装。最近流行のマットよりもツルっとクリア塗装が好きなんでこれは良いです。最新の設計であるBORA WTOと比べればリムプロファイルはU字というよりV字。

ハブもリムも中華カーボンとは違う高級オーラで感心しました。Speed 40CはピナレロF12の純正オプション採用ホイールだったわけで。Helium SLXと組み合わせればこれでハイエンドフレームにハイエンドなカーボンクリンチャーホイール、もうこれmotorcycleで言えばmotoGPマシンじゃないかとテンションが上がります。重量は実測でフロント635g・リア805g。リアの軽さが際立っていますね。手に持った時点で軽さを感じます。

チューブはシュワルベのEXTRA LIGHT 18-25C SV20-ML。普段使いも考えているので、ラテックスやTPU(熱可塑性ポリウレタン)ではなく扱いやすいブチルチューブ。最軽量クラスの51~52gはちょっと怖いので、今までロングライドで使っても問題ない軽量クラス60~70gぐらいのものから選びました。バルブ長は見た目や空気抵抗、重量バランスを考えるとなるべく短くしたいところ。リムハイト40mmだと48~50mmが合います。40mmだとちょっと足りません。42㎜ぐらいがあればジャストですが、市販品ではなさそうです。

GP5000の25Cを嵌めてみます。カーボンリムなのでレバー使わずに手だけでいければと思ってましたが、簡単にいけました。2WAY-FITじゃなくクリンチャー専用にしてよかったな瞬間、狙い通り。はやる気持ちを抑えてレーゼロから履き替えて走ってみます。

まず驚いたのが乗り心地の良さ。これはSpeed 40C特有のことではなく、アルミからカーボン、22~23Cから25Cにした影響が大きいとは思いますが、それにしても良いです。そして乗り心地が良いのに柔らかいということもなく、平地でパワーを入れたり坂で全力ダンシングしても気持ちよく進んでくれます。レーゼロ比だと若干の柔らかさも感じますが、別にグニャグニャした感じではなく、真円を保ったうえでの若干の柔らかさ。適度なしなやかさと言った方がいいかも。かかりも良いです。それと平地も登りも中華カーボンのICANチューブラーより進む感じがあります。進むというより前に勢いよく飛んでいくような感じで、ずっと乗っていたくなるし、ついついペースが上がってしまいます。重量はタイヤ込でICANが前後で1805gに対しSpeed 40Cは2040gと重いけど、登りやすいのは断然Speed 40C。この辺はICANが悪いということではなく、汎用品の組み合わせで所謂手組みに近い中華カーボンと、専用リム/ハブ/スポークで設計してある完組の差かもしれません。コーナリングの安定感も良いです。

雨の日のブレーキの効き。ツール・ド・おきなわのスタート付近が雨上がり始めの小雨でしたが、効きは十分でした。この辺は雨でも効くリムブレーキのカーボンということでブレーキ面がAC3のSpeed 40Cを選んだのですが狙い通り。しかし聞いた話だと、AC3の溝は2万kmも走るとなくなってしまうようです。自分の場合はニセコと沖縄のレース二週間前からの練習とレース本番しか使っていなくて走行距離2000kmぐらい。普段使いも考えてクリンチャーにしたのですが、結局レース前とレース時だけの使用になりそうです。新品時は晴れでも雨でもアルミより効きますね。ブレーキパッドはリム面の温度の上がりにくさでSWISS STOPのFLASH PRO BLACK PRINCEを使用。

褒めてばかりでもなので欠点を探してみます。購入検討編でも書きましたが、今となっては若干設計が古いところですかね。Speed 40Cは内幅17mm/外幅24.5㎜、BORA WTOは内幅19mm/外幅26.5mm。GP5000など最新のタイヤは19Cを基準に、例えば25Cであれば19Cに嵌めた時に25mmになるように設計されています。とは言っても17CのSpeed 40Cに25Cを履かせても乗った時の違和感は特になく、リムとサイドウォールの面も揃っているように見えますけどね。最新のBORA WTOと比べると、スポークの高級感も劣ります。BORA WTOはスポークもSpeed 40Cのハブのようなヌルっとした独特の艶で、全体的な高級感が更に一段増しています。スポーク形状もSpeed 40Cが薄くほぼ四角なのに対し、厚みは多少あるのですが丸っこい形。わざわざスポークを変更したということは、WTOの形状のほうがエアロなんでしょうね。購入検討時に懸念したBORA WTOのタイヤの外しにくさですが、出先でパンクをサクっと直していた方もいたので馴れかもしれません。それでもクリンチャー専用よりはやりにくいとは思いますが。

総評としては究極のオールラウンドでどこでも使える超優秀ホイール。自分はロードレース用途で買いましたが、クリテリウムヒルクライムでも使えると思います。乗り心地がよいのでロングライドにも適しています。登り特化とか、巡航特化とか、尖ってはいないけどオールラウンドにいけます。今となっては最初の仕方なく買ったモヤモヤ感は完全に消えてなくなってしまいました。むしろ清々しい気分です。買ってよかったSpeed 40C、ありがとうフルクラム。これは良いホイールです。