ストレートプルハブ・スポークで手組みホイール 作業&インプレ編

さてパーツは決定、工具も揃ったので組み始めます。ロードバイク組み立ても経験済なので楽勝かと思いきや、意外と苦戦しました。所謂バラ完とホイール組みは全くの別物と思った方がいいです。というのも、車でもmotorcycleでもロードバイクでも同じですが、自分で整備する際にまずハードルとなってくるのが舐めやすいボルトやら固着して回らないボルトの類です。これがロードバイク組み立ての場合、トルクをかけるのがせいぜいBB付近のみで、それもトルクを掛けやすい長めのBBレンチを買うなりすればそれ程の障害にはなりません。手組ホイールの場合はどうかと言えば、固めのホイールに仕上げたいと思えばホイールをキンキンに張るためにニップルを締める必要があり、舐めにくいブラスニップルでも意外と舐めます。しかも振れ取りしながらバランスも取らなくてはいけない、今回のフロントであれば×20本ということでかなり苦戦しました。

まずPWTのスポークレンチですが、このタイプのスポークレンチは組み始めにくるくる締め込むには良いのですが、最終段階の締め込みに使うと手が痛くなったり舐めたりで、作業が全然進まなくなります。そこで役に立つのが

このタイプのスパナ型のニップルレンチ。DT SWISSのアルミや真鍮など3.2mmのニップルなら精度もよくこれが良いです。これを買うまでにニップルを舐めてスポーク付け直すハメになったり何度したことか。しかしニップルを舐めなくなってもまだ気は抜けません。スポークが捻じれて曲がってしまうことがあります。スポークホルダでスポークが回転しないように抑えるわけですが、その時の工具は

このDT SWISSのエアロスポークホルダーを使うのが一番よいと思いました。同種の工具は他にもありますが、DT SWISSのものがホールドする部分が長くスポークを曲げずに回転を抑えやすいです。注意すればそんなに曲げずにできると思います。まあ自分の場合は長さ間違いと曲げてしまったのも含めて結局スポーク3回注文してしまいましたが…CX-RAYの1/3ちょっとの値段のPillar Wing20ですが、一撃で作業が終えられる技量があればCX-RAY買えました(笑)。まあ色々失敗するのも想定内でPillarにしておいてよかったです。

AL22w

すったもんだあって完成。TNIのシールは剝がしました、別にカッコ悪くはないけど軽量化(笑)。ハブはNOVATECのAS61CB、リムはTNI AL22W、スポークはPillar Wing20をラジアル組で20本、ニップルはDT SWISSのブラスニップルリムテープシマノという組み合わせで640gに仕上がりました。19cのワイドリムでブラスニップルということも考慮するとまあまあ軽量ですかね。スポークテンションはPWTのスポークテンションメーター読みで80kgfとそんなに高くないのですが、これ以上やると舐めるレベルなので多分もっと高そうです、校正が狂ってる?

まずタイヤを嵌めてみると、TNIのAL22Wはチューブレスレディなのですが、中古のコンチネンタルGP4000S2がメチャ嵌めにくいです。初のチューブレスレディでしたが、クリンチャーしか使わないのであればチューブレスレディはいらないですね。むしろ出先のパンク修理のことを考えると使い勝手が悪いです。クリンチャー専用で安いワイドリムが無かったので仕方ないけど。

乗ってみてのインプレ。最初は恐々、輪行バッグを持って近所を走ってみましたが普通に走れます。ちょっと感動(笑)。剛性不足とかは感じないです、むしろシャキシャキ進みます。NOVATECハブの回転も不満無し。ストレートプルでラジアル20本の鉄エアロスポークというのはミドルクラス~ハイエンドの完組アルミホイールでもよくある構成なので、その辺と同等にはなってるのかもしれません。ゾンダやレー3、デュラは16本だったり。そりゃ極太アルミスポークでリムハイトも少し高いレーゼロとは違うけど、気持ちよくスポーツ走行するのに問題ない仕上がり。気になるのはTNIリムのブレーキ面。安い溶接リムだからなのかハズレを引いたのか、ブレーキ面の段差がちょっと気になりますね。ただ走行にもブレーキ性能にも影響ないレベル。レーゼロと比べて明らかに違うのは高速域。40km超えてくるとレーゼロの方が安定してます。精度が高く重量バランスがいいのか、ハブのPCDや太さからくる剛性の差なのか、スチールスポークの差なのか、全部が寄与してるのか、その辺は分かりませんが完組・レーゼロの良さも再確認しました。

手組みホイールの記事を書いておいて言うのもなんですが、手組みホイール自体はあまりお勧めしません。材料だけならこのフロントホイールは8000円ほどでできたわけで、完組だと同価格帯になるシマノの105ホイールWH-RS300よりも安い割に性能はだいぶ上です。しかし工具の初期投資やら、自分の場合は失敗スポーク代やら、あれこれ調べたり試行錯誤した時間を考えると完組を買ってしまった方がよかった気がします。ぶっちゃけ海外通販で4万円付近に値下がりした時にゾンダ買ってしまうのが一番です(笑)。こう思う理由は他にも完組ハイエンドには敵わないという点や、リアのハブの選択肢の少なさなどがあるのですが、それはまた後輪のALX473改造編の機会にでも書こうかな?まあホイールを手組みする下調べの過程で、ホイールに対しての理解が少し深まったのは良かったと思います。